英語を勉強するとき、日本語と英語の言語的な違いだけでなく、日本と英語圏の文化的な違いにも気づき壁に感じることも多いのではないでしょうか。(ここでは便宜上、一括りにしています)
しかし、言語はその背後にある文化と密接に結びついており、英語を学ぶ際にも、英語圏の文化を無視することはできません。(ここでは、英語圏の文化をざっくり日本語でいう”欧米”という認識で大丈夫です。)
(もちろん、シンガポールのシングリッシュやマレーシアのように、英語がその地域に溶け込み、独自に発展している場合は少しだけ話が違います。)
よの中にある本には、日本人が使いがちな誤った表現、ネイティブがよく使う表現集、これだけ覚えれば大丈夫!といった本は見つかるのですが、そこの文化的な背景も含めたコミュケーションの部分を説明してくれる本はあまりません。
しかし、とっても良い本をみつけました!
『英語の思考法 ー話すための文法・文化レッスン』井上逸平著という本です。
この本には、“英語の文法や表現がなぜこう使われるのか”といった背景や”英語の思考法”が詳しく説明されており、私自身も改めて、勉強になるとともに、是非紹介したいなと思ったので、記事にすることにしました。
勉強をする際にこのことが知識としてあるのと、ないのとでは、変わってくると思います。
英語圏を表す3つの特徴がどう英語表現に表れているのかが分かる
英語圏の文化を表す3つの特徴
英語文化を表す特徴として、筆者は「個/独立」「つながり」「たてまえ」があります。
それらの特徴は、英語という言語自体にも、コミュニケーションの手段としても現れているので、それぞれを詳しくみていきましょう。
「個/独立」という特徴
まず、「個/独立 (individuality / indipendence) 」という特徴ですが、英語圏の文化が「個/独立」の特色があることは、なんとなく聞いたことがあると思います。
事実、英語圏には日本の様に親子が川の字に寝るという習慣はなく、赤ちゃんでも1歳になると親とは別々のベッドで寝かせられるようです。
また、それは英語の使い方にも現れていて、相手と対話をする時にも、なるべく相手の個/独立を侵害しないことが暗黙のルールになっています。
例えば、親しい人に対してもポジティブで相手に明らかなメリットにならない限り、助言・忠告、You should~ (あなたは~した方が良い)ではなく、You can~ (=できるよ)だとか、I would〜 (私なら~する)といった可能性の言い方をするようです。
イギリスの大学に2学期分留学をした際にも、それは感じました。
法律やルール(暗黙のものも含む)に違反しない限り(でも何かあると警察がすぐ出動してくる)ほっておかれます。基本は放任主義です。
英語は「つながり」を求める
先ほどとは、矛盾する考え方で、英語に「つながり」という考え方があり、コミュニケーションスタイルや言葉のチョイスにも注意する必要があります。
まず、カルチャーとして、日本ではお店の店員さんに「いらっしゃいませ」と言われても、基本的には定型文であり、お客として何かを返すことがもとめられているという訳ではありません。しかし、欧米では店員さんに、普通の挨拶として返すことが求められています。
お笑いでも、日本の主流はコントで、観客は芸人のネタをジャッジし、笑う義務はありませんが、欧米の主流はスタンダップコメディで、観客はコメディアンのジョークに反応する雰囲気があり、観客とのコミュニケーション(つながり)が感じられます。
ロンドンやニューヨークで演劇やミュージカルを観ても(特にブロードウェイ)お客さんがヒューヒューと言ったりとノリノリで、演者⇔観客のつながりが感じられますよね。
単語に関しても、「つながり」を表す単語や動詞があります。
例えば、share / commit / company/ join といった動詞は、つながりを示すことに一役買っています。
英米文化は誰でも「対等」である
英米の文化では、基本的には人同士は、対応であるというタテマエがあります。
そのため、日本の様に年齢を気にして敬語を使うことはありません。逆に、一方が一方を過度に褒めたり、持ち上げたりすると「対等」であるために、へりくだるということになります。
本であげられている、英語でも謙虚さを表す表現としては、下記のものがあります。
I’m embarrassed to say I’ve never heard of Mount Takao. (のI’m embarrassed to say~ とう表現)
I’m not exactly a computer expert. (の not exactly という表現)
個と個が「対等」であるということは、上司であっても基本的に自分の意見は主張をして良いということになります。
その点、日本の様に自分の発言の結果、相手がどう思うかということまで考慮して、発言をする(もしくは発言をしないと選択する)ことはないということです。
まとめ
このように、英語の語学の勉強をしたからと言って、単語や文法を勉強したからと言って、(もちろんそれらは大切ですが) 英語でコミュニケーションができるか?というと、なかなかうまくいかないのは、こういった普段は説明されないような文化の差や、その差から生まれる言葉の使い方だったり、という所があります。
実際に飛び込んで、身を持って身につけるということもありだと思いますが、このようにとても分かりやすい新書をもつけたので、今回さわりを紹介しました。
興味を持たれた方で、詳しい表現についてもっと知りたい、という方は是非、この本をお手にとって読んでみてくださいね。
英語が上達するためのコラムについては、以下の記事も参考にしてくださいね。
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